うさぎで思い出すのは、小学校の遠足で、西宮の甲山でうさぎ汁を食べた事だ。後にも先にもこの時だけだった。味も何にも覚えていないが、うさぎを食べたと言う事、事態が、記憶にきざまれている。神戸を往復する時、甲山を見るとうさぎ汁を食べたのだと、その言葉がよぎる。幾度となく甲山を見るが、あの時登ったのが、最初で最後だ。年を重ねると、そんなに重大な事でも無いのに、変に記憶している言葉が有る。子どもの時好きだった人が、僕は、13日の金曜日に生まれたと、他に、色々な会話をしたはずなのに、その言葉しか浮かんでこない。若い頃は、目が良かったが、最近では本当に目が、悪くなり不自由している。夜空に浮かぶ三日月を見上げて、一つじゃなくて二つ、三つに見える。あの時、この事を言っていたのだと、今になって判る。夜空に浮かぶ二、三個の三日月を見上げると、その時その言葉を思い出す。その時は、その言葉がすこぶる不思議だったのを思い出す。その人とももっと沢山の話をしたはずだが、私には不可解な言葉だったのだろう。